副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「美鈴。もう何も言わずに、僕の前から姿を消すのはやめてくれ」

絶対にはなさないというように、強く抱きしめられた。

「もう大丈夫です。明日、ご両親にお会いできることを、楽しみにしています」

啓太さんは腕を解いて私と目を合わせると、そっと口づけをした。

「ありがとう、美鈴。愛してる」

「私も、啓太さんを愛しています」

恥ずかしさを我慢して、私の気持ちを伝えると、啓太さんは幸せそうに微笑んだ。

「おやすみ、また明日」

私の髪に、そっとキスをして、啓太さんは帰っていった。




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