副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「本当にな。最近、いろんな人から話を聞いていたぞ。啓太は恋人にぞっこんだって。美人で、すごくしっかりした子で、自分の息子の嫁に欲しいぐらいだって言ってるやつもいたな」

「なんだって!?」

どこまで本気なのか……お父様の言葉に恥ずかしくなる。

「わ、私、そんなふうに言ってもらえるような、できた人間ではなくて……」

「いや。美鈴は僕の理想通りの人だ」

「まあ、啓太ったら。やっと幸せを見つけられたのね」

「父さん、母さん。週末に美鈴のお母さんに会いに行ってくる。そこで許しがもらえたら、美鈴と結婚したい」

「美鈴さんは、啓太でいいのかな?」

「啓太さんは、私にはもったいないぐらい素敵な人です。そんな啓太さんが私を選んでくれて、本当に嬉しく思っています。ずっとおそばで支えていきたいと思ってます」

「美鈴」

私の言葉を聞いて、啓太さんが熱い眼差しを向けてきた。
それを見たお母様が、嬉しそうに微笑む。

「あらまあ。啓太は本当に、美鈴さんが大好きなのね。
あなた、こんなにいい子がお嫁に来てくれるなんて、本当によかったわね。長いこと待った甲斐があったわ」

「ああ。美鈴さん、私達は二人が幸せなら、それだけでいいと思ってるんだよ。啓太のことを、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」




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