副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「叔父はね、忙しい両親に代わって、よく僕の相手をしてくれたんだ。だから、両親の次に美鈴を紹介したくて連れてきた」

「そうだったんですね。嬉しいです。こうやって、啓太さんの身内の方に紹介してもらえて」

「美鈴は大切な婚約者だからね。僕の家族になるんだから」

啓太さんの言葉に、もうこの関係に嘘偽りがないことを改めて実感して、胸がいっぱいになる。

「啓太さん。私、父や祖父母が亡くなってから、親戚もいないので、母だけが家族だったんです。でも、啓太さんと結婚すると、こんなにも温かい家族が、一気にできるんだって、すごく嬉しいです」

「そうだよ。僕だって、幼いみいちゃんを、優しく包み込んでいた美鈴のお母さんと家族になれると思うと、すごく嬉しい」

「啓太さん、私を選んでくれて、ありがとう」

「美鈴こそ、僕を好きになってくれて、ありがとう」


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