副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜

入籍したその日から、私は啓太さんのマンションに移り住んで、新婚生活をスタートさせた。


「美鈴、おいで」

引越ししたその日の夜、緊張していた私を、ソファーに座る啓太さんが呼び寄せた。
近づくと、啓太さんは不意に私の腕を引き、膝の上に横抱きにした。

「け、啓太さん、こんな格好、恥ずかしいです」

真っ赤になる私を、啓太さんは熱くまっすぐ見つめてきた。

「美鈴。美鈴の全てが欲しい」

いくら経験がない私でも、何を言われているのかぐらいはわかった。

「いい？」

首を小さく縦に振ると、啓太さんはそっとキスをした。
そして、私を抱きかかえたまま寝室に向かい、そっとベッドにおろした。

「美鈴、愛してる」

何度も何度も私の名前を呼んで、幾度となく愛の言葉を囁きながら、啓太さんは大切な宝物に触れるように私に触れていく。

そして、私達は一つになった。