副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜

入籍してから数ヶ月経って、啓太さんとの暮らしにすっかり慣れた頃。
私が妊娠していることがわかった。

「おめでとうございます。双子の赤ちゃんですね」

お医者様の言葉に、嬉しさと同時に驚いた。

「双子……ですか？」

「はい。ほら、ここを見てください。間違いなく双子です」

エコー写真を示しながら、説明をしてくださった。

「双子の場合、出産までの管理も一層気を付けなければいけません。それから、生まれてからもサポートが必要になるでしょう。ご家族でそういったことも相談しておいてください」

一緒に説明を聞いていた啓太さんも、さすがに驚いたようだ。
でも、落ち着いてくると、幸せな気持ちが溢れてきた。

「美鈴。やったな。幸せが二倍じゃないか！！」

啓太さんが心底喜んでくるのが伝わってきて、私もますます嬉しくなる。

「親にも知らせないとね。それから、医者の言っていた通り、サポートのことも考えないと。双子育児のこと、少し調べてみよう」