副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
それから二人で、双子の育児について調べてみた。
初めての育児ってだけでも不安なのに、いきなり二人なんて……
調べれば調べるほど、どんどん不安になっていく私を見て、啓太さんが提案してきた。

「美鈴。美鈴のお母さんに、サポートを相談してみないか?」

私の表情を確かめながら、啓太さんは続ける。

「シッターなんかを雇うこともできるけど、美鈴が信頼できる人の方がいいに決まってる。お母さんに相談してみよう。僕は可能なら、美鈴のお母さんをこっちに呼び寄せて、この先も近くで暮らして欲しいって思ってるんだ」

「お母さん、何て言うかなあ……」

私が相談することで、お母さんを悩ませないか、不安に思ってしまう。

「美鈴、みんな家族なんだから、遠慮する必要はないんだよ。美鈴は美鈴のして欲しいことを主張していいんだ。お母さんだって、遠慮なくやれることとやれないことを話してもらえばいい。何も言わなかったら、分かり合えないままになってしまう。
それに、頼られるって、嬉しいものなんだよ」

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