副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「そっか……思っていることを言っていいんだね」

「そうだよ。お母さんだけじゃなくて、僕にだってなんでも言っていいんだよ。むしろ、我がままでもなんでも、今よりもっと言ってくれたら僕は嬉しい。ますます美鈴に近づけた気がするからね」

「そんなふうに言ってくれて、ありがとう」

そう言って微笑むと、啓太さんも微笑み返してくれる。

「じゃあ、美鈴のお母さんに、妊娠の報告をしながら相談してみよう」

「そうだね」


大切なことだし、顔を見て話したかったけど、私の体が心配だからと、実家に行くことを啓太さんが許してくれず……
かわりに、

「今度の連休に、お母さんの都合がよければ、こっちに招待しよう」

と提案してくれた。
早速、母に連絡してみると、都合は大丈夫だし、久しぶりにこっちの友達に会いたいからと、泊まりがけで来てくれることになった。
せっかくだから、マンションに泊まってもらおうとしたけど、「新婚さんの邪魔なんてしたくないわ」と、さっさとホテルを予約してしまった。
当日は、うちに来てもらって、ランチをしながら話をすることになった。



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