副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「さあどうぞ。ここまでお疲れさまでした」

「ありがとう。久しぶりにこっちに来たから、疲れを感じないぐらい、浮かれているのよ。二人とも、招待してくれてありがとう。嬉しいわ」

「いいえ。楽しんでいただけて、よかったです」

「それで、私を招待した理由はなんなのか、話してくれる?」

母の鋭い返しに、ドキリとする。
敬太さんと目を合わせると、うなずき返してくれた。

「あのね、お母さん。私、妊娠したの」

「本当!二人ともおめでとう。よかったわね」

母が、すごく喜んでいるのが伝わってくる。

「でね、お腹の赤ちゃんが、どうやら双子みたいなの」

「双子?」

母は、珍しくキョトンとした顔をした。
でも、次の瞬間には満面の笑みになっていた。

「まあ!よかったじゃないの。お母さんね、美鈴が一人っ子なのが気がかりで、妹か弟がいればよかったって、ずっと思ってたの。
そっかあ。双子かあ」 

「それでね、生まれてからのことなんだけど……お母さんに助けて欲しいって思ってるの」

なんとか、自分希望を伝えられてホッとしていると、後を啓太さんが引き継いでくれた。


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