副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜

秘書の立花が、どうやら僕に想いを寄せていたようで、美鈴に対する嫉妬から、とんでもないことをしてくれた。
美鈴に婚約者のふりをさせたのは、他人の敵意を彼女に向けさせるためだと話して、彼女を傷つけた。

ありえない。
たとえ誰が相手であったとしても、そんなことをするわけがない。

でも、知らず知らずのうちに、この関係で追い詰められていた美鈴は、それを信じてしまった。

最初は立花に腹を立てていた。
けれど、それは違うと気付いた。
本当に美鈴を追い詰めていたのは、僕自身だ。

自分が情けなかった。
どれもこれも、自分が契約の婚約者なんて頼んだことが原因だ。
好きで好きで仕方がない美鈴を、僕自身が苦しめていたなんて、悔やんでも悔やみきれなかった。