副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
しかし、自分にとって最後の発表会としていた、22歳の夏。
田川先生から受け取ったプログラムに、〝佐山美鈴〟の名前はなかった。

どうしたのかと、先生にダイレクトに聞くのもはばかれ、

「今年もメンバーは変わってますか?」

と、なんとも真意の掴みづらい質問をしていた。

「ああ。数人辞めて、小さい子が増えたかな」

その〝数人〟には、佐山美鈴も入っていたのだろう。
なんとも言えない、さみしい気持ちになった。
が、自分も今年が最後の年だったから、来年には見かけなくなるところだった。
それが一年早まっただけだと、さみしい気持ちを追いやった。




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