副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「美鈴ちゃん、靴はある?」

「はい。ちょうど合いそうなのがあります」

「そうか。じゃあ、髪とメイクはどうする?希望するなら、美容院を手配するけど?」

「いつも通りじゃまずいですか?」

「美鈴ちゃんは美人さんだから、何もしなくてもいけるよ。でも、こんな機会はあまりないだろうから、プロにやってもらうのもいいよ。もちろん、会社もちだし。俺も、プロの手の入った美鈴ちゃんを見たいし、迷ってるならやってもらおう。じゃあ、予約を入れておくから」

聞いておきながら私が答える隙もなく、強引に決められてしまった。


「社長、おい、陽!」

「なんだ、晴土。うるさいぞ!」

「佐山さんが、パーティーの同行を引き受けてくれたぞ」

「そうか。佐山さん、頼んだよ」

「はい。素敵なドレスとアクセサリーまで用意していただいて、ありがとうございます」

「ああ」
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