三月はいなくなる子が多いから
「放課後だっていうのに、時間使わせちゃってダルかったろ。
簡単な話なんだ。平野にひとつ頼みがある」

自分でさえ戸惑っている変調に、
先生は先生なりに気遣い、
話を手っ取り早くしてしまおうとしているのがわかった。

「他の人間に聞かれるわけにいかなくてな。
本当はダメなんだけれど、部屋を締め切らせてもらったよ」

他の人間……、
他の生徒にも他の先生にも聞かれてはいけない話……。

何も思い浮かばなかった。

いや、それはウソで、
少しだけイヤらしいことが頭に浮かんでいた。

仕方がないじゃん…。
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