三月はいなくなる子が多いから
3_青い目の羊飼い、十字架と海月、人の来ない場所
「ごめんね。今日もちょっと用事があって。
みんなで先に帰っちゃっていいからね」
昨日は牧田先生からの急な呼び出しで、
今日はその牧田先生からの無茶なお願いで、
2年生になってから同じグループのみんなとは
一緒に帰れなかった。
もしかすると明日からは、
一緒に帰ることができないかもしれない。
とはいえ、「友達がいない」私を気遣って、
誘ってくれていただけだった。
どうしても一緒にいて噛み合わない瞬間がでてしまう。
それは私だけじゃなくて、
グループのみんなも同じように感じていたと思う。
「別に大丈夫だよ。また明日ね」
そう言って帰っていく彼女たちの背中から
どことなく安堵感があるように見える。
それは私の性格が悪いだからだろうか。
友達だと思えなかったのは私なのに、
お互いに合わなかったと、
どうしようもなかったことと
仕立ててるのかもしれない。
……、いまこんなことを考えるのはやめよう。
窓際の一番後ろの席をそっと見る。
園田さんは気怠そうに、
帰り支度をしていた。