三月はいなくなる子が多いから

「……」

クラスメイトたちの視線が痛かった。
私は園田さんと机をはさんだ目の前に立っている。

園田さんは私を見ていた。
その青い視線はクラスメイトのとは明らかに異なる。


あたしに遊び半分で近づくな


彼女が口に出さずとも、
その意図は容易に受け取れた。
目は口ほどにものを言う。

今朝から考えていた園田さんと友達になるための
あれやこれやはまるで口に出せなかった。

園田さんも何も言わなかった。
大きくて青い瞳は、暗く輝いているだけだ。

クラスメイトは、、、
もう気にならなかった。

「……何だってんだよ…」

園田さんが呆れたように呟いた。
ため息をついた彼女は
面倒臭そうに席を立った。

乱暴そうに私の手をとり
教室から私を連れ出した。

私は何も言えず、
そして園田さんも何も言わなかった。

教室を出て、廊下を昇降口に向かっている途中
ようやく気づいた。

私は泣いていたようだ。

< 31 / 49 >

この作品をシェア

pagetop