三月はいなくなる子が多いから
「……、私、、牧田先生が好きなんです…
昨日の放課後に先生から頼まれて…
園田さんと友達になれって…」
校門へと肩を並べて、
ただ顔を見ることはできずに二人向かう
私は言った。
園田さんは、特別驚いたふうはなかった。
ただ言葉を選ぶ間をおいて、
「はぁ、悪りい担任だねえ。
平野さんはあたしなんかと関わり合うの嫌だろうに。
目立たないようにしてるんだろ?」
「!」
言葉が出なかった。
「…ち、ちがいます!目立ったりとかそういうの
苦手なんです!!!」
そう必死に答えた時、
私は顎を上げて園田さんの表情を伺ってしまった。
目があった。
彼女のあの青い綺麗な瞳。
私が男の子だったら、こんな子に声をかけられない。
遠くから眺めるので精一杯だ。
吸い込まれそうなその瞳から、
私は無理やりに足元に視線を移し
「…昨日、先生の誕生日だったんです。。
だから、何か先生の役に立ちたくてその頼みを受けて。
けど結局どうすればいいのかわからなくて……」
それで泣いてしまっていたのかもしれない。
園田さんにとっては完全な巻き込まれ事故だ。
教室で他のクラスメイトの前で泣かれて、
とても迷惑に感じたに違いない。
はたから見れば、
私が園田さんにいじめられているようにしか見えないもん。
「…なんで牧田のこと好きなの?」
園田さんは先生のこと牧田って言うんだ。
私はそんなことがまず気になってしまった。