三月はいなくなる子が多いから
先ほどとは異なり、沈黙を破ったのは園田さんだった。
校門は下校している生徒が多かった。
他の生徒たちの目を気にしていたのかもしれない。

「さっきの話を聞いた限りじゃ、
あんたら、あたしと直接関わりがあったわけじゃないよね。
メンド臭いからさ、誰から頼まれてるか言っちゃってくんない?
絡まれんのも心当たりがありすぎて、ピンとこないのよ」

ようやく口を開いた園田さんに、
不良たちのリーダーだと思われる大男が応えた。

「やっぱ、お前が園田マリエルなんじゃねぇかよ。
聞いてた以上に美人じゃねえか」

そう言うと、不良たちの目に下卑た光が再び灯った。

「誰に頼まれたかなんて言うわけねえだろ。
生意気な女がいるから、ちゃんと分からせておけって頼まれたんだよ」

園田さんは鼻で笑うと、
「ふーん、、となるとあんたらは飼い主に忠実なワンちゃんってわけかあ」

「あ? マジで生意気な女だな。
俺たちに飼い主なんていねえよ。金で頼み込まれただけだ。
お前をXXしてる動画を撮って欲しいってな」

「金であたしのXXXXをねえ……」
探偵が推理をしているように園田さんは顎に手をやった。

トリックの秘密を(あば)いたように手をポンっと打つと、
「金で頼まれたんなら、金で解決しよう!
そいつの倍を出すよ。だから誰から頼まれたか言ってみな」

園田さんは名案が浮かんだと思ったんだろう。
声色には朗らかさまで感じられた。
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