三月はいなくなる子が多いから
体勢を崩した園田さんは、倒れることはなかったけれど、
地面に片手をついて勢いを止めた。


急なことで理解が追いつかなかった。
ようやく大男が園田さんの横顔を殴ったと理解できた時、
情けないことに見ていただけの私の方が腰を抜かして地面に蹲み込んでしまっていた。


「マジでうるせぇな、お前。
お前は俺たちにXXXXりゃいいんだよ。
ちゃんと撮っといてやるから、いい声で泣けよ」


殴られた勢いで倒れそうな所を支えた右手の手の平についた砂利をパンパンと払う。

園田さんの健康的な褐色のほっぺたはもう赤い跡が付いている。
それよりももっと赤い血が左の口唇の端に見える。
そしてその血を滴らせた口唇は、、、僅かに吊り上がった。

園田さんは笑っていた。
少なくとも私にはそう見えた。


さっき校門で、
不良たちよりも圧倒的に恐怖心を感じた、
その時の園田さんだった。
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