三月はいなくなる子が多いから
「あー、覚えてる。その事件。
岩崎の連中が関外の人間を犯人に仕立てようとしてて、
だいぶ兄貴たちは怒ってたわ」
そう言って園田さんは苦虫を噛んだような表情をした。
その表情が何に対してなのかはわからなかったけれど。
「な、なんで関外のやつらが出てくるん…」
大男の岸田の言葉を遮るように目出し帽の男が言った。
「本之丞クン、うるさいからもう喋るんじゃないヨ。
せっかく差別の受けない血で生まれて、しかも金持ちの家にネ。
退屈紛れのアウトロごっこはいいけれども、遊びじゃ済まないこともあるんダヨ」
そう言って目出し帽をあげた。
左目の下に十字架、右のこめかみにはクラゲのタトゥーが挿れてあった。
彫りの深さや少し浅黒い肌の色をしていて外国人か、ハーフのヒトだと思う。
ポケットから銀色のシガレットケースを取り出した。
ケースから取り出したXXXXXに、火をつけるとゆっくりと煙を吸い込んだ。
岸田の仲間の不良たちは、全員目出し帽の人たちに取り押さえられていた。
背にまわした両手の親指をインシュロックで締められ、
うつ伏せに押さえつけられていた。
顔面にタトゥーのある男は紫色の煙をゆっくりと吐き出した。
「姉ちゃん、、みんな心配するカラ、
こんなやつらにいちいち付き合わないでくださいヨ…」
「ナタン、小言は言わないで、どうせ家に帰ってからバアちゃんに怒られるんだしさ…
あたしはいつだって大人しくしてるよ。今日だって何もなけりゃこんなことにはなんなかった」
そう言ったあと、視線を私に向けられた。
いや、気のせいだろう。気のせいと思おう。。
この気の抜けたやりとりの中、
岸田という男は、園田さんがナタンと呼んだ男の人に向かって土下座をした。
「この女が関外に関係してると知らなかったんです!
岩崎のやつにこいつをXXXしろって、ナタンさんが言うように俺は岩崎の命令を断れねえ」
ナタンはゆっくりと園田さんの隣へといくと、
XXXXXを回す。
園田さんもゆっくりとXXXXXを吸った。
「やっぱ、岩崎センパイから頼まれたのかよ。
まったくあいつを王子様とか言って憧れてる女いっぱいいるってのに、
オンナのコの夢を壊す男はサイテーだなあ」
紫色の煙をゆっくりと吐きながら、呆れたように園田さんは言った。
岸田は額を地面に押し付けたまま、
「クルーズさんって方が、関外団地を仕切ってるって聞いてます。
集められるだけ金は集めます。クルーズさんにナシを繋げてもらえませんか…?」
「……本之丞クン、キミはもう喋らない方がいいって言ったヨネ?
世界はちゃんとゾーニングされていたのにネ。ラインが薄くなってキミみたいなのが俺たちと関わりが持てるようになっちゃったんダナ。嫌な世の中だネ……」
そう言ったナタンはまたシガレットケースを取り出した。
土下座をしている岸田を目出し帽の男が押さえつけ、
インシュロックで両手を締めた。
「あのネ。
お前が殴った、この子のミドルネームがクルーズって言うんだヨ。
バカじゃないんだから、この意味はわかるヨネ?」
シガレットケースからはさっきとは違い、XXXXが出てきた。
「うちのカンバンにネ、
舐めた口聞かれただけでかなりアタマにキてるんだよ、俺たち。
オマエ、殴ったよね……」
絶望はこうも人を変えるのか。
園田マリエルをXXXしようと目をギラつかせていた男が、
今は自分の人生が終わりに抗おうと、
インシュロックで拘束されていながらも涙を流し、
唾液を、涎をたらしながら大声をあげている。
人を呼ぼうとしているんだろうが、
ここは、人の来ない場所、だった。
岸田のあらゆる懇願、それを跳ね除けられたための恨み、呪い、呪詛を、
全て園田さんは受け止めた。
岸田の最後の足掻きをきちんと看取った。
それが園田さんの役割、ともいうように。
絶望した岸田は目出し帽の男に引きずられるように路地の闇へと連れて行かれた。
その様子を園田さんは最後まで見遣って、
ゆっくりと紫煙を吐いた。
私はといえば、
腰を抜かした上に、、、、
おしっこを漏らしてしまっていた。。。
岩崎の連中が関外の人間を犯人に仕立てようとしてて、
だいぶ兄貴たちは怒ってたわ」
そう言って園田さんは苦虫を噛んだような表情をした。
その表情が何に対してなのかはわからなかったけれど。
「な、なんで関外のやつらが出てくるん…」
大男の岸田の言葉を遮るように目出し帽の男が言った。
「本之丞クン、うるさいからもう喋るんじゃないヨ。
せっかく差別の受けない血で生まれて、しかも金持ちの家にネ。
退屈紛れのアウトロごっこはいいけれども、遊びじゃ済まないこともあるんダヨ」
そう言って目出し帽をあげた。
左目の下に十字架、右のこめかみにはクラゲのタトゥーが挿れてあった。
彫りの深さや少し浅黒い肌の色をしていて外国人か、ハーフのヒトだと思う。
ポケットから銀色のシガレットケースを取り出した。
ケースから取り出したXXXXXに、火をつけるとゆっくりと煙を吸い込んだ。
岸田の仲間の不良たちは、全員目出し帽の人たちに取り押さえられていた。
背にまわした両手の親指をインシュロックで締められ、
うつ伏せに押さえつけられていた。
顔面にタトゥーのある男は紫色の煙をゆっくりと吐き出した。
「姉ちゃん、、みんな心配するカラ、
こんなやつらにいちいち付き合わないでくださいヨ…」
「ナタン、小言は言わないで、どうせ家に帰ってからバアちゃんに怒られるんだしさ…
あたしはいつだって大人しくしてるよ。今日だって何もなけりゃこんなことにはなんなかった」
そう言ったあと、視線を私に向けられた。
いや、気のせいだろう。気のせいと思おう。。
この気の抜けたやりとりの中、
岸田という男は、園田さんがナタンと呼んだ男の人に向かって土下座をした。
「この女が関外に関係してると知らなかったんです!
岩崎のやつにこいつをXXXしろって、ナタンさんが言うように俺は岩崎の命令を断れねえ」
ナタンはゆっくりと園田さんの隣へといくと、
XXXXXを回す。
園田さんもゆっくりとXXXXXを吸った。
「やっぱ、岩崎センパイから頼まれたのかよ。
まったくあいつを王子様とか言って憧れてる女いっぱいいるってのに、
オンナのコの夢を壊す男はサイテーだなあ」
紫色の煙をゆっくりと吐きながら、呆れたように園田さんは言った。
岸田は額を地面に押し付けたまま、
「クルーズさんって方が、関外団地を仕切ってるって聞いてます。
集められるだけ金は集めます。クルーズさんにナシを繋げてもらえませんか…?」
「……本之丞クン、キミはもう喋らない方がいいって言ったヨネ?
世界はちゃんとゾーニングされていたのにネ。ラインが薄くなってキミみたいなのが俺たちと関わりが持てるようになっちゃったんダナ。嫌な世の中だネ……」
そう言ったナタンはまたシガレットケースを取り出した。
土下座をしている岸田を目出し帽の男が押さえつけ、
インシュロックで両手を締めた。
「あのネ。
お前が殴った、この子のミドルネームがクルーズって言うんだヨ。
バカじゃないんだから、この意味はわかるヨネ?」
シガレットケースからはさっきとは違い、XXXXが出てきた。
「うちのカンバンにネ、
舐めた口聞かれただけでかなりアタマにキてるんだよ、俺たち。
オマエ、殴ったよね……」
絶望はこうも人を変えるのか。
園田マリエルをXXXしようと目をギラつかせていた男が、
今は自分の人生が終わりに抗おうと、
インシュロックで拘束されていながらも涙を流し、
唾液を、涎をたらしながら大声をあげている。
人を呼ぼうとしているんだろうが、
ここは、人の来ない場所、だった。
岸田のあらゆる懇願、それを跳ね除けられたための恨み、呪い、呪詛を、
全て園田さんは受け止めた。
岸田の最後の足掻きをきちんと看取った。
それが園田さんの役割、ともいうように。
絶望した岸田は目出し帽の男に引きずられるように路地の闇へと連れて行かれた。
その様子を園田さんは最後まで見遣って、
ゆっくりと紫煙を吐いた。
私はといえば、
腰を抜かした上に、、、、
おしっこを漏らしてしまっていた。。。