白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「アイツ、親父さん時みたいに涙一つ見せねーでさ。ずっと苦しかったはずなのにな・・。俺さ流星に言ったんだ。俺だけには素直になれって。だけど、アイツいつも笑って、ありがとなって言うばかりでさ。それからも流星、変わらずにあのアパートに一人で住んでた。なんか銀行に月に一度流星の名義で金が振り込まれていたんだ。きっと流星の母親なんだと思う。ちゃんと金あんのに、流星自分でも金貯めようとして毎日新聞配達とかしてたよ」

あたしは、こみ上げてくる涙に逆らうことはしなかった。

「親が両方いなくなってから流星全く笑わなくなってさ。だけど、俺にはちょいちょい色んな顔見せてくれたよ」

流星は、決して弱音を見せない人だったもんね。
きっと他の誰よりも苦しんだんだろう・・。
辛かったよね・・流星。
今すぐ、あなたを抱きしめてあげたいよ。

「それから流星が中学2年の8月にアイツの誕生日があってさ。8月23日。いつものように流星ん家で遊んでたら突然アイツんとこに小包が送られてきたんだ。送り主は書いてなくて、とにかく開けてみるかってなって小包開けてみたら、メッセージカードと服が沢山入ってたんだ。メッセージカードには、お誕生日おめでとうって書いてあったんだ。それで流星が、きっと母さんだって言って。あん時、流星すっげー嬉しそうにしててさ・・。俺もそんなアイツ見て少し安心したんだ。よかったって、流星の母親、自分の子供のこと忘れてなくて・・って。それから毎年アイツの誕生日になると、何かしら流星の母親から小包が送られてくるんだよ。今でもな・・。そんな母親に流星も少しは救われてたと思う。それでアイツが高校生になった時、俺の親が家買って住むとこが変わったんだ。だけど相変わらず俺ら今でもバカばっかしてるんだけどな・・」

そして、カズキは泣いている顔で笑った。
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