白い便箋を太陽に翳してみれば・・

どのくらい病室にいたんだろう・・。

コンコン・・

病室のドアが開く音が聞こえる。
そこには、タオルを持った二人の看護師さんが立っていた。
看護師さんは、あたしを見ると深々と頭を下げた。
それにつられて、あたしも頭を下げる。

「北澤流星さんへの私達の最後の務めです。体を拭かせていただきますね」
「・・はい」

そして、あたしは病室を出た。
何も考えられなくて、考えたくなくて、あたしはただただ流星にもらった指輪を握りしめているだけだった。

その時、近くの病室に明かりが点いていた。
もう遅い時間だから、流星の部屋しか明かりが点いていないはずなのに・・。

もしかして・・。
嫌な予感がした。

あたしは、そこの病室を少しだけ覗いてみた。
< 225 / 350 >

この作品をシェア

pagetop