白い便箋を太陽に翳してみれば・・
そこには、20代くらいの男の人がベッドで寝ていて、隣にはお母さんらしき人が座っていた。
男の人は頭に包帯が巻かれてあるだけで、他はケガをしていないようだった。
その人は、寝ている人の手を握って「生きていて本当によかった・・」そう言ったんだ。

「ねぇ・・もしかして・・その人・・工事現場で事故起こして病院に運ばれて来た人ですか・・?」
「えっ?」

気づけば、あたしはその人達の病室に入っていた。
女の人は、突然現れたあたしに驚いた表情を見せた。
あたしの体は、震えが止まらなくて、
立っていることで精一杯だった。

「そうなんでしょ・・?答えてよ!」
この時のあたしは、もう周りなんか見えていなかった。

「なんで・・生きてるの・・。あんたのせいで、あたしの大切な人が死んだのに!どうして事故起こした人が生きてるの・・!」

あたしは、その場に泣き崩れた。
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