白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「人って・・こんなにも簡単に死んでしまうものなんですね・・」
先生は、あたしの言葉に顔をあげた。

「あたし・・いつも流星に助けられてばかりで・・。あたしは流星のために何が出来たんだろう。今でも好きで好きでどうしようもないのに・・。流星は、あたしといて幸せだったのかな・・?」
「きっと幸せだったはずです。流星くんが病院に運ばれて来た時、ほとんど意識がなかったんです。だけど、流星くんずっと指輪を握りしめていました。花恵さんが流星くんを愛していたように彼も花恵さんのことを愛していたんだと思います」

そして、またあたしの目から涙が伝う。

「先生・・本当にありがとうございました。先生は、すごいお医者さんですよ。だから、そんなに自分を責めないであげてください。これからも辞めないで続けてください・・」

先生は泣いていた。
「花恵さんは、本当に強い方なんですね。初めて言われました。いつもは責められる立場なのに、逆に励まされました。花恵さんの言葉でなんだか気持ちが楽になりました」
「私が変われたのも全部、流星のおかげなんです。もし、流星に出逢っていなかったら、きっと今でもあたしは落ちこぼれのままだったと思うから」
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