白い便箋を太陽に翳してみれば・・
あたしは、優しく自分のお腹をさすってみる。
自然と笑顔になって癒されるんだ。

そんなあたしを隣でお母さんは、温かい笑みを浮かべながら見ていた。


そして、今日は自分が今まで働いていたお店に退職届を出しに行った。
最初こそ、いつもお世話になっている店長の佐々木さんはとても驚いていたけど、あたしのお腹を撫でながら祝福してくれた。

本当に佐々木さんは、最後の最後まで優しくて途中あたし泣いちゃったっけ・・。
それほどあたしが東京に来て、初めてお世話になった人だったから・・。

その後あたしは、お母さんと一緒に神社に向かった。
あたしの赤ちゃんが元気に産まれてこられるように二人でお参りに行った。
休日の神社は、思っていたよりも沢山の人がいた。

長い階段をあたしは手すりに掴まりながら、ゆっくり登っていく。
そして、神社の前に立って礼をしてから、手をたたいてお願い事をする。

「神様、どうか元気な赤ちゃんを産めますように。見守っていてください」
最後にもう一回、礼をしてからあたしは前を向いた。
< 260 / 350 >

この作品をシェア

pagetop