白い便箋を太陽に翳してみれば・・
隣のお母さんを見たら、まだお願い事をしていた。

「あら、花恵終わってたのね」

そう言って、ニコッと笑うお母さん。

「お母さんは何をお願い事したの?」
気になってお母さんに聞いてみたけど、
「内緒よ~」
ただ微笑むだけで、全然教えてくれなかった。



それから時が経って、新しい年を迎えた。

外は雪が積もっていて太陽の光に当たると、雪が反射してキラキラしている。
あたしは、お母さんが買ってきてくれたみかんに手を伸ばす。
あっという間に一個食べ終わってしまった。

「ねぇお母さん」
隣でテレビを見ているお母さんに、あたしは話しかける。
「うん?どうしたの?」
「あたしこの子を産んだら、実家に戻ってもいいかな?」
「もちろんよ。あなたの家じゃない。お父さんもきっと喜ぶわね」

あたしは、実家でこの子を育てるつもりでいた。
また沢山、お母さんとお父さんに頼ってしまうこともあると思うけど、もう東京にいる意味がなくなったから。
そのことを美香に伝えたら「頑張ってね!」って応援してくれた。
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