白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「子宮口がまだ3㎝なので、もうしばらく時間がかかります。冴島さん、赤ちゃんも頑張ってますからね」

それから数分が経った時、
「先生!花恵は大丈夫なんですか?!」
近くでお母さんの声が聞こえてくる。
きっと看護師さんが電話してくれたんだ。
そして、三上先生がお母さんに何か伝えている。

「冴島さんもう少し頑張りましょうね。また何かあったらすぐに呼んでくださいね」
そう言って三上先生は、病室を後にした。
「花恵、頑張りなさい!もうすぐ赤ちゃんが産まれてくるのよ」
お母さんは、目に涙を浮かべながらあたしの手を握った。

痛くて痛くて・・。
やっぱりあたしを産んでくれたお母さんって、本当にすごいんだなって、そう思った。

痛みに耐えながら、気づけば朝になっていた。
夜は全く眠れなくて、隣でお母さんがずっとあたしの背中をさすってくれた。
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