白い便箋を太陽に翳してみれば・・
思いがけない坂口さんから聞かされた母さんの本当の真実に、俺は何も言えなかった。
「びっくりするのも無理ないよね。でもね、これだけは覚えておいてほしいんです。あなたのお母さんは、流星くんのことを誰よりも愛していたこと。捨てたりなんかしていないってこと。確かにあなたのお母さんは、流星に沢山辛い思いをさせてきてしまったかもしれない。でも、一度としてあなたのことを思い出さなかった日はなかったと思うから」
そして、優しく微笑んで言ったんだ。
「大きくなったね」
自然と俺の目から、一粒の涙が伝った。
なんだか坂口さんが、俺の母さんと重なって見えた。
「どうして・・そこまで母さんのこと・・」
「初めてだったの。あんなに悲しそうに自分の子供を思って毎日生きている人に出逢ったのは・・。私も4歳の娘がいるんだけど、病院の仕事が忙しくて中々面倒を見てあげることが出来なくて・・。ただそれだけでも寂しいのに、私以上に辛くて悲しい過去を背負いながら子供を思っているのって、どんなに辛いことなのか・・。私も看護師だから少しは患者さんのケアも出来たらなって思っているうちに、親しくなったんです。それと、あなたのお母さんがたまたま私の担当でよく話をしていたんです」
そして、坂口さんは優しく微笑んだ。