白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「今までありがとうございました。母さんにそんなことまでしてくれて。俺・・今まで母さんのこと、ちゃんと母さんとして見ることが出来なかったけど、坂口さんに母さんの本当のことを聞くことができてよかったです。本当にありがとうございました」

そして俺は、坂口さんに頭を下げた。

「ううん。流星くんこれからも頑張ってね」
「はい」

今まで知らなかった事実。
母さん・・どんな気持ちだったんだろうな・・。
思えば父さんが自殺してから、母さんはいつも一人で泣いていた。
そんな母さんを、俺はただただ遠くから見ていることしか出来なかった。

俺の前から母さんが姿を消して1年が過ぎた時、俺の誕生日に毎年一つ小包みが送られてくるようになった。
「お誕生日おめでとう」というメッセージカードと何かしらのプレゼント。
差出人は書かれてなかったけど、その送り主が母さんだってことは、メッセージカードの字を見てすぐに分かった。

最初は意味も分からずに、ただ受け取っていたけど、今こうして母さんの真実を聞いた後、なんて俺はバカだったんだろうって・・。
母さんの優しさに、想いに、どうしても気づいてあげられなかった。
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