白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「はい」

その問いかけに、俺は迷わず答える。

「あなたは今、ここがどこか分かりますか?」

「いいえ」

俺の返事に、おじいさんはどこか切なげな表情をした。

そこで俺は、全てを悟ったんだ。


「俺は・・死んだんですか?」

「いいえ。今あなたは、病院のベッドで寝ています。そこには、愛する人があなたの手を握りながら泣いています。しかし、あなたの命は、後少しで終わりを迎えようとしています」

自然と自分の拳を強く握りしめた。
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