白い便箋を太陽に翳してみれば・・
花恵は今泣いている・・。
そのことが、痛くて切なくて苦しかった。

そして、俺の目から一粒の涙が頬を伝った。

「後一回だけ・・後一回だけでいいんです。花恵のところに戻れませんか?」

わがままだって、そんなことは自分が一番分かってる。
だけど、これで俺の命が終わってしまうのなら、最後にもう一度だけ花恵のところに行きたいんだ。

「わかりました。ですが、時間は限られています」

「わかってます。でも・・後悔だけは絶対にしたくないんです」

その時だった。

さっきまで俺の手をずっと握っていた男の子が、急に俺を抱きしめたんだ。

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