白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「パパ。大丈夫だよ。僕がママを守るからね。だから心配しないで」

男の子は、俺にそう言ったように聞こえた。

小さな・・ささやくような声だった。

そして男の子はもう一度、俺を強く抱きしめてから消えた。

気づけばおじいさんも消えていて、そのまま俺は何かに吸い込まれるように現実の世界に引き戻された。

そこには、全身に包帯を巻いた俺が、病院の先生に心臓マッサージをされていた。

「いやだ!流星いかないで・・!!」

そんな声が聞こえた。

目も開けることが出来ないし、体を動かすことも喋ることも出来ない。
俺はただ愛する人の声を聞いてやることしか出来なかった。
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