白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「元気ですか?そっちは寒くないですか?笑っていますか?あれからもう何年経ったんだろうね。光優は今年で20歳になりました。もう大人です。そして私は、おばさんになりました。前よりもちょっぴり、しわだって増えました。私はちゃんと「母親」が出来ていたのかは分からないけれど、光優が言ってくれたんです。「母さん、俺を育ててくれてありがとう」って。それを聞いて泣いてしまいました。光優は今、成人式を終えて友達と写真を撮りに行きました。スーツ姿の光優はとても輝いて見えて、立派でした。そんなわが子を私は誇りに思います。光優は、あなたのように真っ直ぐで優しくて、思いやりのある子に育ちました。ここまで来るのに、辛いことだって沢山ありました。だけど、あなたが残してくれた沢山の言葉が私を励ましてくれたの。だから、ここまでやってこれたんです。流星・・?私、今生きていてよかった。あなたには、感謝してもしきれない想いが、この胸に沢山溢れているから。ちょっと年取った私でも、あなたはいつか私を、あの頃のように抱きしめてくれますか?何年経っても、この言葉だけは、あなたに伝え続けたいんです。流星、あなたを愛しています」


その手紙を、私は綺麗に折って封筒に入れた。

隣には、あなたがあの日私達にくれた白い便箋があります。

あなたの残した言葉を忘れないように、今日も私は白い便箋を太陽に翳してみるんです。

                                   (完)
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