白い便箋を太陽に翳してみれば・・
「花恵・・」
突然、流星があたしの名前を呼んだ。
「うん?」
「目つぶって」
そんなことをいきなり言い出す流星。

なんだろう・・。
だけど、素直に流星の言われた通り目を瞑る。
すると、あたしの右手の薬指に何か冷たい物が当たった。
「もう少しだけ待ってて・・」

そう言って、まだ見えないけど隣で流星が何かゴソゴソしている。
「目開けていいよ」
言われるがまま、あたしは目をゆっくり開けた。
ふいに自分の右手の薬指に光る物・・。

それは、指輪だった。

「ほら・・」
そう言って流星は、自分の右手の薬指をあたしの手に並べて見せてくる。
流星も、あたしと同じ指輪をはめていた。
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