Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
最終章 極上の旦那様を、ご賞味あれ。
眩しい光に顔をしかめれば、小さく笑う吐息が聞こえた。眠く気怠い身体は、この先も一生朝型人間にはなれないんだと言っているみたい。
「おはよう、亜子ちゃん」
白のワイシャツは首から二つ目まで外されていて、そこから覗いている首筋がとてもセクシーだ。片肘を付いて横に寝転んでいる匠くんは、くりくりで大きな目を優しく細めながら私の腰を布団の上からやんわりと撫でる。
「身体、大丈夫?」
少し照れくさそうに言われて視線を自分の身体に向ければ、ブラジャーが目に飛び込んできた。足を布団の中で擦るように動かせば、素肌がシーツに当たる感触がする。
私、とうとうやってしまった・・・?!
「ふっ、ふふ」
百面相をしていた私を見た匠くんが、抑えきれないように息を吹き出す。
「なっ、ナニを」
「してないよ」
「___え、あ・・・そう」
少し残念に思っている心を隅っこに追いやって、匠くんを睨みつける。でも嬉しそうに目を細められてしまえば、怒る気など失せてしまうのだ。
「初めてが記憶に残らないなんて嫌だもん。僕を見るだけで欲情するくらいに、蕩けさせるから初めては覚悟しておいてね」
「んなっ! 子どもがなにを「誰が、子どもだなんて言った?」
さっと大人の表情に変わった匠くんに頬を掴まれて、キス出来る距離まで引き寄せられる。赤い舌が出てくるのをスローモーションのように見守ると、唇を舐められた。じんと甘く疼く唇はいつもと何かが違う。指先で唇に触れてみれば、じんと波紋のように広がる痛み。触れるくらいでこんなに敏感だったかな・・・。
「ごめん。寝顔見ていたら我慢出来なくて」
「え?」
「真っ赤だから、しばらくは口紅塗らなくてもいいかも」
その意味に気付いてしまい、急激に顔が熱くなるのを感じた。ぺろっと舌を出した匠くんの口元を直視出来ない。
私、寝ている間にずっとあの唇で・・・。
「えっち」
「ちがっ」
「想像した?」
「して、ない」
「教えてあげようか? 僕がどんな風に、そこを・・・そうしたのか」
匠くんが親指の腹で私の唇を撫でる。
ちょっと待って。匠くん、子犬だったでしょう。可愛いプードルだったでしょう? そんな表情・・・狼じゃない。