永遠の愛を君に…
出会い
「須原くんね？
早速今日からお願い出来る？」

俺が出した履歴書を片手に、柔らかく微笑んだのは、ホールチーフを務める丸山 桃香(まるやま ももか)さん25歳。
緩くウェーブのかかった栗色の髪を後ろで一つに纏めている。
身長150㎝ちょっとしかなさそうな小柄な彼女は、やや童顔のかわいらしい顔立ち。
俺の人生で初めての一目惚れだった。

　俺、須原 優誠(すはら ゆうせい)が彼女と出会ったのは、大学3年生の秋。
友人の宗弥(そうや)に頼まれて、俺のマンション1階にあるファミレスにアルバイトに行く事になったのが、きっかけだ。

　俺の実家は地方都市にある。
その分野では世界シェア7割を誇る中堅企業を経営しており、比較的裕福な家庭環境で育った。
そのため、東京の大学に進学した俺には、十分な生活費と自由に使えるカードを与えられた。
まぁ、カードの明細は実家に届くので、変な店では使えないんだが。
だから、家庭教師のアルバイトも、大学2年の3月、生徒の中学卒業を機に辞め、研究に専念していた。

　俺の実家は、産業ロボットを製作している。
子供の頃からロボットを見て育った俺は、当然のように工学部に進学し、ロボット工学を学んでいる。
しかし、卒業後は経営学も学ぶため、アメリカ留学が決まっていた。
社長の息子というのは、経済的には恵まれているが、プレッシャーやストレスが半端なく多い。
しかも、周りはそれを全然分かってくれない。
ただひたすらに羨ましがられるだけ。

割に合わないよなぁ。
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