永遠の愛を君に…
 俺が唇を解放すると、桃香さんはそっと目を開けた。
俺はもう一度、桃香さんにキスをする。
桃香さんは、彼女の顔の傍に突いた俺の左腕のシャツを摘んで、キュッと握った。
その瞬間、俺は我を忘れた。
何度も何度も、そこに桃香さんがいることを確かめるようにキスをする。
桃香さんが掴んでいない右手で、桃香さんの髪を撫で、頬に触れる。
僅かな隙間から、くちづけは深いものへと変わっていく。
桃香さんは俺を受け入れてくれて、桜と共に俺にも春が訪れた。

 それから、桃香さんは、頻繁にうちに来て、俺の部屋で料理や掃除などをしてくれるようになった。
俺が桃香さんの部屋に行くこともあったし、二人で遠出をすることもあった。

 宗弥が就職活動で悪戦苦闘している中、留学が決まっている俺は、研究や卒論に集中していた。
決して遊んでいたわけではないが、(はた)から見ると焦燥感のない俺は、のんびりしているように見えたかもしれない。

「優くんは、就職活動しないの?」

 付き合い始めて、俺は桃香さんを桃香と呼ぶようになり、桃香は俺を優くんと呼ぶようになった。

 俺は家庭の事情を説明する。
来年四月にアメリカに渡り、八月までは語学留学、九月からはMBA取得に向けての授業を受けること。
期間は予定では二年。

 それを聞いて、桃香さんは途端に不安そうな顔をした。
だけど、だからといって俺は、桃香さんを手放す気はない。

「大丈夫。
二年間、ずっと離れてるわけじゃない。
俺も帰ってくるし、桃香が旅行がてら
会いに来てくれてもいい。
もし、桃香が仕事を辞めてもいいなら、
俺と一緒に来てもいい。
桃香一人分の生活費くらいは俺が
バイトして何とかするよ。」

桃香は、日本で待ってるって言った。
桃香ならそうするだろうって俺も思ってた。

なのに……
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