副社長の初めての相手は誰?
2 忍と絢
「なんで黙っていたの? 」
「だって…言ったら、お爺ちゃんやおばあちゃんの事、傷つけるって言ったから…」
優は絢の傍に行った。
「絢。もういいんだよ、心配しなくて。良く判ったから」
「お爺ちゃん。…お母さんに、酷い事言ったの? 」
「あ…そ、それは…」
「お母さん、ずっと苦しんでいるの。お父さんの事、今でもすごく好きで。お母さん、誰とも結婚していないんだよ」
「そうだね…」
優は何も言えなくなった。
「お父さん、あの人ね歩けるよ」
「え? 」
「見たの、ちゃんと歩いてるところ。それに、知らない男の人と一緒にこの家に入ってきてたよ」
優と優輝は顔を見合わせた。
「嘘だと思うなら、防犯カメラ見てみて」
「分かったよ絢。疑ったりしないから、心配しないで」
優輝はそっと、絢の頭を撫でた。
「お父さん、私。明日からしばらく、優衣おばちゃんの家に行ってもいい? 」
「ああ、構わないよ」
「良かった。じゃあ、お父さん。明日は、病院に一緒に来てくれる? 」
「分かった。ちゃんと診てもらおうな」
「うん」
絢は満面の笑顔で微笑んだ。
話しが終わると、絢は今日は優輝と一緒に寝たいと言い出した。
優輝の寝室には春美が入って来る事もある為、絢の部屋で一緒に寝る事にした。
絢の部屋は鍵がついていて、春美が入って来れないようになっている。
春美は今夜は友達と会ってくると言って、まだ帰ってきていない。
久しぶりに、穏やかな宗田家。