副社長の初めての相手は誰?
その後。
朝食が済んで、絢は優輝と一緒に病院に向かった。
金奈総合病院。
絢は外科を受診した。
診察をした医師は絢を見て驚いていた。
服の下には無数の痣があり、切り傷もあった。
見えない部分に殴られた跡がたくさんあり、足も腫れていて手の甲も酷い腫れ。
目も酷い痣になっていて、口元も切れていた。
「これは、虐待ですか? 」
医師は率直に優輝に尋ねた。
「…おそらく、母親がやった事だと思われます…」
言葉重く優輝が答えた。
「このままでは危険です。どうか、この子の安全を考えて下さい」
「はい…そうします…」
辛そうに答える優輝。
診察が終わり、薬をもらう為に薬局に来た優輝と絢。
ソファーに座って順番待ちをしていると、端っこで1人の男の子が酷く咳き込んでぐったりとしていた。
絢はその男の子が気になってじっと見ていた。
「秋田忍さん」
名前を呼ばれて、男の子が立ち上がって薬を受け取りに行った。
だが、歩く足取りがフラフラしている。
「宗田絢さん」
絢も呼ばれて薬を受け取りに行った。
絢の隣で薬を受け取る男の子は、フラフラして動きが鈍かった。
先に薬局を出た優輝と絢。
少し後に、男の子が出て来た。
酷く咳き込んでいる声が聞こえてくる…。
絢は何となく気になって振り向いた。
すると…。
男の子はフラッとして、その場に倒れ込んだ。