副社長の初めての相手は誰?

 その後。

 朝食が済んで、絢は優輝と一緒に病院に向かった。



 金奈総合病院。


 絢は外科を受診した。


 診察をした医師は絢を見て驚いていた。

 服の下には無数の痣があり、切り傷もあった。

 見えない部分に殴られた跡がたくさんあり、足も腫れていて手の甲も酷い腫れ。

 目も酷い痣になっていて、口元も切れていた。


「これは、虐待ですか? 」

 医師は率直に優輝に尋ねた。

「…おそらく、母親がやった事だと思われます…」

 言葉重く優輝が答えた。

「このままでは危険です。どうか、この子の安全を考えて下さい」

「はい…そうします…」


 辛そうに答える優輝。






 診察が終わり、薬をもらう為に薬局に来た優輝と絢。



 ソファーに座って順番待ちをしていると、端っこで1人の男の子が酷く咳き込んでぐったりとしていた。


 絢はその男の子が気になってじっと見ていた。


「秋田忍さん」


 名前を呼ばれて、男の子が立ち上がって薬を受け取りに行った。

 だが、歩く足取りがフラフラしている。



「宗田絢さん」


 絢も呼ばれて薬を受け取りに行った。



 絢の隣で薬を受け取る男の子は、フラフラして動きが鈍かった。




 先に薬局を出た優輝と絢。


 少し後に、男の子が出て来た。


 酷く咳き込んでいる声が聞こえてくる…。
 

 絢は何となく気になって振り向いた。


 すると…。

 男の子はフラッとして、その場に倒れ込んだ。
< 17 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop