副社長の初めての相手は誰?
 
 忍の部屋は玄関先の洋室。

 ベッドと机、そしてパソコンが置いてある。


 
 優輝は忍をベッドに寝かせる為に、パジャマに着替えさせた。


 男の子らしいシンプルなブルー系のパジャマの忍を見ると、可愛くて思わずギュッと抱きしめたくなった優輝。

「忍君、何か欲しい物ある? 喉渇いたりしないか? 」

「…お水を…下さい…」


 赤い頬をして、忍は優輝を見つめる…。


「分かったよ、コップとかはどれでもいいのかい? 」

「…冷蔵庫に…お水が…あります…」


「わかった、私持ってくるから」

 絢が冷蔵庫にお水を取りに行った。



 優輝は忍をベッドに寝かせた。

 夏の暑い時期の為、タオルケットをかけてあげた。


「…ごめんなさい…ご迷惑をおかけしました…」


 熱に魘されながらも、忍はきちんとお礼を言った。


「忍君。病気の時は、遠慮しなくていいから。おもいきり甘えていいんだよ」


 優輝がそっと忍の頭を撫でた。

 熱であつくなっている忍の頭に手を当てると、とても心地よいエネルギーを優輝は感じた。



 ふと、忍の机の上に写真が飾ってあるのが目に入った。

 それは忍が小学生に入学した時、母の希歩と一緒に写した写真である。


 風景は海外の様で、周りには金髪の子供がいる。

 写真に写る忍と希歩は似ていないが、目がそっくりである。

 透き通る綺麗な瞳をしている。

 まだ髪の長い希歩が、ピンク系のスーツに身を包んでとても優しい雰囲気で忍と笑っている。

 
 その写真を見ると優輝の目が潤んだ。

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