副社長の初めての相手は誰?


 最上階。

 ここには社長室と副社長室のにある。



 
 エレベーターが到着して、希歩が降りてくると。


「お待ちしておりました」


 と、優しい声が聞こえて、希歩はゆっくりと視線を上げた。


 そこにはとても穏やかな表情の優が居た。

 
「初めまして、社長の宗田優です」


 名刺を渡されて、希歩は受け取った。

 そして希歩も鞄から名刺を取り出し、優に渡した。


「弁護士の秋田と申します」


 優は名刺受け取ると、そっと微笑んだ。


「外はとても暑かったのではありませんか? さっ、こちらへどうぞ」


 社長室まで案内してくれる優。


 その後ろを、希歩は着いて行った。






 社長室。


 南向きで日当たりも良く眺めもいい。


 来客用のソファーはとても良い素材で、座り込落ちもよい。


「どうぞ、おかけ下さい」


 優の向かい側に促され、希歩は会釈をして腰かけた。


「今日は、どうなさいましたか? 」

「はい。先ずはこれを…」


 希歩は鞄から封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。


「単刀直入に申し上げます。…娘を、返して頂きたいのです」

 え? と、優は驚いた目をして希歩を見た。


「その封筒に、全ての調査結果が入っております。そして、これを…」


 もう1つ、希歩が鞄から取り出したのは母子手帳。

 古くなっているが、表紙には可愛いパンダの親子の絵柄が書かれている。

 名前は秋田希歩と書かれている。


「これは、私が9年前に出産した時の母子手帳です」


 とりあえず、優は封筒の中を見た。



 封筒の中には書類が入っていて、調査結果が書かれている。


 写真も入っている。

< 3 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop