副社長の初めての相手は誰?
最上階。
ここには社長室と副社長室のにある。
エレベーターが到着して、希歩が降りてくると。
「お待ちしておりました」
と、優しい声が聞こえて、希歩はゆっくりと視線を上げた。
そこにはとても穏やかな表情の優が居た。
「初めまして、社長の宗田優です」
名刺を渡されて、希歩は受け取った。
そして希歩も鞄から名刺を取り出し、優に渡した。
「弁護士の秋田と申します」
優は名刺受け取ると、そっと微笑んだ。
「外はとても暑かったのではありませんか? さっ、こちらへどうぞ」
社長室まで案内してくれる優。
その後ろを、希歩は着いて行った。
社長室。
南向きで日当たりも良く眺めもいい。
来客用のソファーはとても良い素材で、座り込落ちもよい。
「どうぞ、おかけ下さい」
優の向かい側に促され、希歩は会釈をして腰かけた。
「今日は、どうなさいましたか? 」
「はい。先ずはこれを…」
希歩は鞄から封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。
「単刀直入に申し上げます。…娘を、返して頂きたいのです」
え? と、優は驚いた目をして希歩を見た。
「その封筒に、全ての調査結果が入っております。そして、これを…」
もう1つ、希歩が鞄から取り出したのは母子手帳。
古くなっているが、表紙には可愛いパンダの親子の絵柄が書かれている。
名前は秋田希歩と書かれている。
「これは、私が9年前に出産した時の母子手帳です」
とりあえず、優は封筒の中を見た。
封筒の中には書類が入っていて、調査結果が書かれている。
写真も入っている。