副社長の初めての相手は誰?
「あれ? …」
通りかかった男性社員数名が、女子社員が倒れているのを発見した。
「おい、血が流れているぞ」
「大丈夫か? 」
「救急車だ! 」
暫くして救急車が到着して、女子社員は病院へと運ばれた。
女子社員は命に別状はなかった。
傷が深く暫く入院になった。
処置が終わり、病室に運ばれた女子社員。
少しして。
コンコン。
ノックの音に女子社員は目を覚ました。
ドアを開けて入って来たのは、背の高い紳士。
彫りの深いお顔立ちに、キリッとした目をしている。
黒いスーツに身を包んで襟元に弁護士バッジがついている。
「大丈夫か? 痛い思いをさせてしまったね」
「いいえ、大丈夫ですよ。動画、バッチリ撮れましたので」
「ああ、有難う」
「ちょうど、退職良かったです。協力出来て、嬉しいです」
「…あの女も、潮時だろうな…」
男性はちょっと遠い目をした。
「姉の仇取って下さいね」
「ああ…」
病室を出てくる男性。
すると反対側から優輝が歩いて来た。
男性は優輝に気づいた。
優輝は男性を見たが、見知らぬ人であり気に留めなかった。
そのまま通り過ぎる瞬間…。
優輝は急に立ち止まった。
男性は数歩進んだところで足を止めた。
優輝は男性に振り向いた。
「あの…」