副社長の初めての相手は誰?
5 僕の事嫌いなんでしょう?
その夜。
優は家に戻ると春美に話しがあると言った。
相変わらず派手な露出のある格好の春美は、リビングのソファーに座って太々しい態度をしていた。
「なんです? 話って」
「すまないが、貴女の足の検査をもう一度お願いしたいのだが」
「はぁ? どうゆう事です? 」
「貴女が普通に歩いているのを目撃した人がいる。1人2人ではない、大勢の人が見ている」
「へぇー。それでなんです? 検査をして歩けるなら、ここから出て行けと言うのですか? 」
「まだそこまでは言っていない。ただ、このままでは非常にまずい事になりかねない」
「まずい事? どうゆう事です? 」
テーブルの上に一枚の写真を優は出した。
その写真は春美が他の男性と腕を組んで歩いている写真で、ホテルに入って行く写真。
その写真を見ると、春美の目が怯んだ。
「これは、匿名で送られてきた写真だ。間違いなく、貴女だね? 」
「し、知らないわそんなの」
「しかし、この服も靴もアクセサリーも全て。貴女が持っているものと同じだ」
「知らない! 誰かの罠です! 誰かが私をハメようとして、こんなことしているんです。私…優輝さんしか知りませんから…」
泣きそうな目をして、春美は俯いた。
やれやれ…
優は呆れた表情を浮かべた。
「では、これは貴女じゃないと言うのか? 」
優は携帯電話に転送していた社内メールの動画を、春美に見せた。
その動画は春美が他の男と淫らな行為をしている動画である。
動かない筈の左足もちゃんと動いている。
「なによこれ…どうゆう事? なんなの? 」
「これは社内メールで一斉送信されて送られてきた。送信先は不明だった。これは、貴女じゃないと言うのか? 」
「違うに決まっているでしょう? なんで? 」
「違うと言うなら、これは何だと思う? 」
「合成映像よ! こんなの、普通に作れるわ。顔写真があれば、いくらでも合成なんてできるもの。調べれば解るわよ! 」
「合成? そんな事、こんなリアルにできるのかい? 」
「ええ、できるわよ。合成映像を作ってくれる、専門家もいるのよ。お金さえ出せば、いくらでも作ってくれるわよ」
「そうか。そんな専門家がいるのか」
「そうよ、世の中お金さえ出せばいくらでもそんなの作ってくれるわよ。普通に見たって、合成映像なんてわからないわよ。だから、みんな騙されるのよ。こんな映像、誰が送って来たか知らないけど。私じゃないわ! 」
「そうか。分かった…。じゃあ、この相手の男性の方に話しを聞いて来る事にする」
「え? 」
優は携帯電話をしまうと、一息ついた。