副社長の初めての相手は誰?
「この写真も映像も、貴女じゃないと言うのだろう? だが、相手側の男性から訴えが出ているとの事だ。そして、相手の男性は妻子持ちだそうだ。それで奥様より、慰謝料請求が来ている。もし、これが貴女ではないと言うなら。逆に貴女が男性側を訴える事ができる」
「訴える? それって、裁判って事? 」
「ああ、そうなる。だがそうなれば、捜査が入り、監視カメラなども調べられる事になる。全てが明らかになるだろう」
「相手の男って誰? 」
「まだ名前は聞いていない。担当の弁護士さんから、連絡が来ているだけだ」
「弁護士? …まさか…あの男? 」
ん? と、優は春美を見た。
「そうよ、あの男だわ。弁護士と言って、私に近づいてきた男がいるわ。その男よ。私をハメたのは」
「心あたりがあるのか? 」
「ええ。その男が間違いなく、私をハメようとしているわ。この映像だって、あの男が作ったのよ! きっと」
「わかった…」
優は少し気持ちを切り替えるため、窓の外をに目をやった。
「すまないが、この事がハッキリするまではこの家から暫く離れてもらえないだろうか? 」
「どうして? 私は何もしていないわ」
「それがハッキリするまでは、離れてもらいたいのだ。私達も、良い気分ではない」
「そんな事って…。そんな事するなら、私の足が動かなくなったのはあの事故のせいだって。公表するから! 」
「好きにしたらいい」
「え? 」
少し厳しそうな目をして、優は春美を見て言った。
「私を乗せた車が、貴女と接触して足が動かなくなった。それが事実であれば、好きにしたらいい。公にするなら、ちゃんとした検査も嫌でも行われることになるからな」
「…わかりました…」
ちょっと虚ろな目をして、春美はそのまま自分の部屋に行ってしまった。