副社長の初めての相手は誰?
倒れている忍を見て、優輝は真っ青になった。
「忍君? 」
傍に駆け寄って、優輝は忍を抱きかかえた。
「忍君? しっかりして! 」
救急車のサイレンが聞こえてきた。
救急車が到着して、救急隊員がやってきて忍を運んでゆく。
「すみません、僕も一緒に行きます」
「お身内の方ですか? 」
「はい…この子の父親です! 」
「では、一緒にお願いします」
救急車に乗せられて、忍は病院へ運ばれた。
金奈総合病院。
運ばれた忍はすぐに処置室に運ばれ対応してもらえた。
廊下で待っている優輝。
咄嗟の事だったとしても、躊躇うことなく忍の父親だと名乗った優輝。
救急車で運ばれる中、忍は朦朧としている意識の中で目を開けて優輝を見た。
「…俺の事…嫌いなんだろう? …」
苦しい中、忍が言った。
「何言いだすんだ。そんな事ないよ」
宥める優輝をやっとの思いで目を開けて、忍は優輝を見た。
「…嫌いだから…探してくれなかったんだろう? …母さんを…捨てたくせに…」
苦しい中、忍の言う言葉に優輝はまるで剣を刺されるように胸が痛んだ。
「…いいよ…嫌いでも…。俺も…あんたが…嫌いだから…」
痛みをこらえて、目を開けて忍は優輝を睨みつけてきた。
優輝は辛くて何も返す言葉が見つからなかった…。
「忍君…僕の事、知ってたんだ…」
処置室から医師が出て来た。
「お父さんですか? 」
声をかけられ、優輝はハッとなった。