副社長の初めての相手は誰?
それから1階のエントラスに降りてきた希歩。
すると…。
「ちょっと待ってよ、優輝さん」
すり寄る声で、優輝の腕を掴んでいる春美がいた。
スケスケのサマーセーターにショートパンツに厚底サンダル。
杖を突いて、左足を引きずっりながら優輝の腕を掴んですり寄っている。
「ねぇ優輝さん。今日は、早く帰れるんでしょう? たまには、2人で外で食事しましょうよ」
すり寄られている優輝は怪訝そうな顔をしている。
「ねぇ優輝さん。もう、そんなに早く歩かないでよ。私、足が不自由なのよ」
顔を見ると老けている春美。
髪に大きくカールをかけて巻いていて、メイクも濃い。
若作りをしているのが見るからに判る。
足が悪いわりには、露出が激しく何となく違和感がある。
希歩は2人に気づき、俯いて目を合わせないように通り過ぎようとした。
俯いたまま希歩は2人の横を通り過ぎた…。
だが…。
ふと、優輝が立ち止まった。
去り行く希歩に振り向いた優輝。
俯いたまま去ってゆく希歩の後姿をじっと見ている優輝。