副社長の初めての相手は誰?

「優輝さん、どうしたの? 」

 春美が声をかけても、優輝は何も答えず、そのまま歩き出した。




 エレベータに乗り、優輝は副社長室へ向かった。

「ねぇ優輝さん。お昼はどうするの? どこにランチに行くの? 」

 1人でニコニコしている春美。

 優輝は無表情で何も答えない。


 3階でエレベーターが止まり、女子社員が乗ってきた。


「お疲れ様です、副社長」

 可愛らしい女子社員が挨拶をした。


「お疲れ様。今日も暑いね」

「はい、今日は日中は40度近くまで上がりそうだってテレビで言っていましたよ」

「え? そりゃ大変だ。エアコン効くかな? 」

「大丈夫ですよ、冷たい物補給しておきますから」

「そうだね」


 楽しそうに話している優輝と女子社員。

 
 その姿を春美が妬ましそうに後ろで見ていた。






 

 お昼休みになり。


 今日は暑くなったため、みんな外には出ないで社内食を頼んで食べていた。


 エレベーターで優輝と楽しそうに話していた女子社員は、お弁当を持って来て食べている。


 と…

「うっ…」

 急に口を押えて呻いた女子社員。


「どうしたの? 」

 向かい側で食べていた女子社員が、声をかけた。


 すると…


 ポタポタ…

 女子社員が口から血を流し始めた。


「キャーッ! 」


 女子社員の悲鳴で、他の社員が振り向いた。


「どうしたんだ? 」

 他のテーブルの男性社員がやって来た。


 驚く女子社員は、血を流している女子社員を指さすだけで言葉が出なかった。


「わぁ…だ、誰か救急車呼べ! 」

 辺りは騒然となった。


 血を流した女子社員はその場に倒れてしまった。


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