副社長の初めての相手は誰?

 サラッと、パジャマがはだけて、希歩の体が露わになると、優輝はじっと見つめた。



 やっぱり引いているの? 


 そう思った希歩はぎゅと目をつむった。


「…希歩…綺麗だね…」

 そう言われて、ちょっと恐る恐る目を開けて希歩は優輝を見た。



 ちょっと涙ぐんだ目をして見つめている優輝。

 その目を見ると、希歩も涙が溢れてきた。


「ごめん。…あまりにも綺麗すぎて、見惚れちゃった…」

「本当に? …」

「うん。…」


 ゆっくりと、優輝の唇が希歩の首筋に降りて来る…。


 鎖骨に…胸に…

 優しく降りてくる優輝の唇は、とても心地よくて、懐かしい感覚と愛しい気持ちが込みあがってきた。


「希歩…。全部、愛している…。希歩の体も心も全部…」




 お互いが産まれたままの姿になり、体が重なり合う。


 優輝のしなやかな指先が希歩の体を犯してゆく…。


 絹のように柔らかく滑らかな希歩の肌に触れると、とても心地よくて…。


 優輝は何度も希歩の体にキスを繰り返していた。



 愛し合う音が静かな部屋に響いていた…。

 
 この感覚がずっと恋しかった…

 10年ぶりに再会した時、希歩はどうせ気づかれはしないと思って顔を背けて通り過ぎた。

 だが優輝は何となく気になり振り向いた。

 
 その時からきっと、恋しくて求めていたのだろう…。

 
 直接触れる体温がとても心地いい…。


「あったかい…優輝さん…。とってもあったかい…」

 
 お互いの体温を直接感じながら、お互いの気持ちが高まり、激しくなってゆく中。
< 74 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop