副社長の初めての相手は誰?
穂香は独身のままで、1人子供がいた。
その子が希歩だった。
希歩を見て、海斗は自分の子供だとすぐに判った。
穂香は否定していたが、間違いないと直感的に悟った海斗は陰ながら見守る事にした。
偶然を装って会いにきたり、こっそり希歩に会いにきたりしていた海斗。
そのうち穂香も折れてきて、結婚はしないけどいつでも会いに来ていいと言ってくれた事から、お互いの家を行き来して過ごしてきた。
今でも海斗は穂香をずっと愛している。
それ故に、希歩が死のうとしたことでずっと優輝に怒りを向けていた海斗だが。
病院で会った優輝を見て、何故か憎めなくなってしまった。
春美に刺された女子社員は、昔、姉が春美に追い詰められ自殺した事に敵を討ちたいと言って海斗を頼って来た事から協力したいた。
今は退院して療養している女子社員は、春美が逮捕され姉の仇がとれたと喜んでいる。
「穂香。もう終わりにして、いいよな。…希歩が心から愛する人と幸せになるのが一番だからな」
写真を見ながら海斗はそっと微笑んだ。
しばらくして希歩が優輝と絢を連れてやって来た。
海斗はちょっとシレっとして対応した。
「私は何も反対しない。希歩を幸せにしてくれるなら、大賛成だ。私と同じ道は希歩には選んでほしくないと思っていたからな」
そう言って、海斗は優輝を見た。
「正直、憎い男だと思っていた。希歩を捨てた、あんな嘘の記事を真に受けたとんでもない男だと思っていたよ。でも、病院ですれ違った時。なんだか憎めないって思ってね。正直、君があの春美と入籍んしていなったかった事にホッとしたんだ」
「そうだったんですね。安心しました」
「私は妻と結婚できなかった。女性が1人で子供を育てて行く苦労は、知っている。希歩がその道を選ぶのは避けたかったんだ」
「ご安心下さい。希歩さんを必ず、幸せにしますので」
「頼むよ。希歩は、私の愛する娘であり。この事務所の優秀な弁護士でもあるからな」
「はい、約束します」
海斗は小さく微笑んだ。