副社長の初めての相手は誰?
暫くして、救急車が到着して女子社員は病院へと運ばれた。
血を流した原因は、食べたお弁当のご飯の中にガラスの破片が入っていた事から、喉に刺さり口の中も切ってしまった事だった。
お弁当を開いときは何もなかったが、ご飯の中に入れ込まれていて気づかなかったようだ。
自分でそんな事はしない事は明かであり、誰か混入させたと断定された。
女子社員がお弁当を置いていたのは、休憩所にある冷蔵庫の中。
お弁当箱には名前も書いてある。
女子社員はいつも名札を付けているので、本人のお弁当であることを分かったうえでのだろうと警察は判断している。
女子社員は総務の社員。
総務では騒然となり、みんな怖がっている。
「怖いわね…」
「もしかして、殺そうとしたの? 」
「病院に運ばれたけど、意識不明で重体らしいわよ」
「ガラスの破片が、胃の中にも入ってしまったって」
「私お弁当止めよう…」
誰が何のためにやったのか…。
騒然となる総務部。
社長室では優と優輝が話し合っていた。
「このままでは社員同士で、疑心暗鬼になってしまう…。誰が、あんな事したんだ? 」
ソファーに座って、優輝がため息をついた。
「優輝。今日は春美さん、来ていたよな? 」
「ああ、来てたけど」
「そうか。何かあったか? 」
「なにかって? 」
「例えば、お前が親し気に、誰かと話していたとかないか? 」
「え? どうして? 」
「いや…10年前にも、同じことがあった事を思いだしたんだ」
「10年前? 」
優は一息ついて窓際に歩み寄った。