副社長の初めての相手は誰?
海斗の下を後にした希歩達は、忍のお見舞いにやって来た。
だいぶん回復した忍は、とても顔色もよく食欲も増えてきた。
イケメンの忍は看護師達の間では、とてもモテモテで、いろんな看護師達が何かにつけて忍の様子を見に来ていた。
怪我の具合もよくなり、トイレも1人で行けるのに、わざわざ忍がトイレに行くタイミングを見計らって来る看護師もいて。
いつも車椅子で連れて行ってもらっている忍。
希歩達が来た時、忍はちょうどトイレから帰ってきたところだった。
「あら忍、トイレでも行ってたの? 」
戻ってきた忍に希歩が尋ねた。
忍は希歩だけじゃなく、優輝と絢まで一緒なのを見ると、ちょっと驚いた顔をした。
看護師が忍をベッドに移してくれて、そのまま去って行った。
「忍ったらモテモテなのね? 看護師さん、すごく嬉しそうじゃない? 」
「べ、別に…」
ちょっと赤くなってムスッとする忍を見て、絢はクスッと笑った。
「もうすぐ退院できるって、先生が言っていたよ忍君」
優輝がそっと頭を撫でると、忍は頬を赤くした。
「お母さん、忍ってお父さんの事好きすぎるくらいなんだね」
「え? 」
「だって、すごく嬉しそうだもん」
「そうね。男の子だもん、やっぱりお父さんがいいのね」
話しかける優輝に、照れくさそうに答えている忍。
そんな忍を見て、希歩も喜びを感じた。
後3日後には退院できる忍。
もう付き添いは必要ないと言って、昼間でも1人でいいと言っている。
夜も看護師がこまめに見に来てくれるそうだ。
「失礼します」
ちょっと太めの看護師がやって来た。
「忍君、検温ですよ」
看護師が体温を測りにきた。
「忍君、今日はいいわね。家族みんなが来てくれたの? 」
「うん…」
「忍君って、お父さんとそっくりなのね」
「え? 」
「並んでみていると、良く判るわ。よく似たイケメンだもの。羨ましいわね」
照れている忍はとても可愛い。
でも、優輝と並んでいるとほんとに忍は優輝とそっくりである。
希歩に似ていた顔が、だんだんと優輝とそくりになって来たようだ。