副社長の初めての相手は誰?

「お父さんとお母さん、何かあったのかな? 」

 絢が忍に言った。

「ん? 別になんともないんじゃない? 」

 忍は特に気にしていないようだ。

「2人で部屋にはいっちゃったから、何かあったのかな? って思って」

「2人の事だから、気にしなくていいんじゃない? 」

「もう、忍は心配じゃないの? 」

「別に。俺は、母さんも父さんも信じているから」

「うーん」


 絢と忍が話していると、優輝と希歩が戻ってきた。


「お母さん、お父さん。どうかしたの? 」

 絢が尋ねると、希歩はちょっと迷った目をした。


 そんな希歩を見て、忍は小さく笑った。


「母さんが、そんな顔しているときって。いい事があった時だよね? 」

 笑いながら忍が言った。


「へぇー。忍は、よく分かるんだな」


 優輝がツンと、忍の額を突いた。



「俺の方が、母さんと居た時間は長いから」

「そっか」


「で、お母さん。何かあったの? 」


 絢が尋ねると、希歩はそっと微笑んだ。


「実はね…。赤ちゃんが出来たの」

「え? 本当? 」

「うん。来年の夏くらいに、もう一人家族が増える予定よ」

「嬉しい! 」


 絢はギュッと希歩に抱き着いた。

「お母さん、有難う。楽しみだね」

 満面の笑みの絢を見て、希歩はほっとした。


 忍も言葉には出さないが、喜んでいるようだ。




 優と光にも報告すると、とても喜んでくれた。


 何も心配する事はないから、安心して子供を産んでほしいと優と光は言った。



 新しい出発に相応しく新しい命まで授かり、ますます賑やかになりそうな宗田家。
 
 
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